不動産相続を期限内に手続きするには:必要書類や費用も解説

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不動産相続を期限内に手続きするには:必要書類や費用も解説

不動産の相続をすることになりそうな人の中には、相続にかかる費用や必要な手続きなどについて、不安を感じる人もいるのではないでしょうか。相続の手続きには、たくさんの書類が必要です。また、相続税の支払いには期限が定められており、期限超過すると延滞税が発生します。

 

相続手続きは、できる限り余分なお金をかけずに手続きを済ませたいものです。この記事では、不動産相続の方法や必要書類のほか、必要な費用についても解説します。

 

遺産分割で不動産を相続する方法】

不動産相続を進めるためには、まず、遺産となる不動産をどのように相続するか、相続人同士の協議が必要です。なお、不動産の遺産分割には4つの種類があります。

 

●現物分割

現物分割とは、特に不動産の売却などをせず、不動産を分割してから相続する方法です。現物分割は、分割しても十分な価値が残る場合には有効な方法になります。しかし、元々の相続財産があまり大きくない場合は、手間がかかるので別の方法を検討するほうがよいでしょう。

 

●代償分割

代償分割は、特定の相続人だけが財産を相続した後に、各相続人へ現金を支払うという方法です。土地で相続したい人と現金で相続したい人とが両方いる場合などは有効になります。

 

●換価分割

換価分割は、遺産を売却した後に各相続人が現金で相続する方法です。分筆登記などの必要がないので、不動産が普通に売れれば最も手間がかかりません。各相続人が納得のいく金額で売却できれば、最も有効な選択肢です。

 

●登記を共有名義に書き換える

例えば土地の相続であれば、相続人同士で協議のうえ、土地の共有持分を割り振る必要があります。注意を要するのは、万が一結局売却することになった場合は、共有者全員の同意を要することです。あとで、処分方法などを巡ってトラブルになることもあります。

 

 

【不動産相続の手続きを流れに沿って解説】

つづいて、不動産相続の手続きを流れに沿って具体的に解説します。注意を要するポイントは、相続税の支払いには期限があることと、法務局へ提出する書類の種類が多いことです。

 

●市区町村の役所に死亡届を提出する

まず、被相続人の死亡届を市区町村の役所に提出します。なお、死亡届の提出は、死亡後7日以内と法律で決まっているので要注意です。

 

遺言書がないか確認する

死亡届を提出したら、被相続人が作成した遺言書などがないか確認します。相続手続きを進めた後に遺言書が見つかると、再度相続人同士の話し合いなどが必要です。手続き完了までに大きな時間がかかってしまうので、遺言書の有無は必ず先に確認しておきましょう。

 

●遺産分割協議を行う

遺言書の有無がわかったら、相続放棄する人がいないか確認してから相続人を確定します。つづいて、先に解説した4種類ある相続方法について、どの方法で相続するのか相続方法を協議します。

 

●相続に関する書類を収集する

遺産分割協議で話し合いがまとまったら、法務局に提出する書類を収集します。不動産相続で必要になる主な書類は以下の通りです。

 

・相続財産目録

・相続する不動産の登記事項証明書

・相続する不動産の固定資産税評価証明書

・相続することになった人の住民票

・相続人全員分の戸籍謄本

・相続人全員分の印鑑証明書

・被相続人の戸籍謄本

・被相続人の住民票の除票

・遺産分割協議書

 

相続財産目録や遺産分割協議書については、相続人が自ら作成することもできます。しかし、できる限り時間をかけず確実に手続きしたければ、弁護士や司法書士に相談するほうがよいでしょう。

 

●書類を法務局に提出して登記を書き換える

書類の収集が完了したら、申請書を添付して法務局に提出します。相続税の納税は期限が定められていますが、相続登記の対応に期限はありません。

 

また、相続不動産を売却するのならば、先に登記の書き換えが必要です。故人が所有者名義の不動産は所有権移転ができないので、売却できません。

 

●相続税の申告と支払い手続き

相続税の支払い期限は、相続発生を知った日から9ヶ月以内です。また、相続税は、相続税評価額の総額から控除額を差し引いた金額を納税します。控除額については、以下の計算式で計算可能です。

 

3,000万円+(600万円×法定相続人の人数

 

20151月までは控除額が1億円だったものの、相続税法の改正によって、控除額は大幅に下がっています。

 

【相続手続きに必要な費用について】

不動産の相続には、相続税以外にも複数の費用がかかります。ここからは各費用について解説します。

 

●登録免許税

不動産を売却せずに相続する場合には、相続登記の手続きが必要です。相続登記には登録免許税がかかります。登録免許税は、土地の評価額に対して0.4%です。ただし、2021331日までは免税期間なので、登録免許税はかかりません。

 

●戸籍謄本など書類の発行手数料

細かな費用ではあるものの、法務省に提出する戸籍謄本や登記事項証明書を取得するには、発行手数料がかかります。

 

なお、各書類の発行手数料は法務局の窓口で申請するのか、オンラインで請求するのかなどによって少し違います。主な書類の発行手数料は以下の通りです。

 

・登記事項証明書:480円〜600

・印鑑証明書:390円〜450

・戸籍謄本:450

 

●司法書士もしくは弁護士の報酬

遺産分割協議や書類の作成について、司法書士もしくは弁護士に依頼する場合は、それぞれに支払う報酬が必要です。報酬額は依頼先によって異なりますが、書類作成や登記の申請だけであれば、5万円から10万円程度が一般的です。