不動産相続にかかる税金のわかりやすいまとめ

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不動産相続にかかる税金のわかりやすいまとめ

 

不動産を相続することになりそうな人は、以下の疑問を持つこともあるでしょう。

 

・相続税を含めた税金はいくらかかるのか

・不動産を売却するとしたらいつまでに売却すればよいのか

 

相続不動産を売却すると、相続税のほかに譲渡所得税がかかります。また、相続税には納税期限があるので、税金を抑制するためには期限内に納税することが必要です。この記事では、相続税と譲渡所得税の計算方法や納税期限などについて解説します。

 

 

~相続税の納税~

 

親から不動産などを相続した場合は、相続税の納税が必要です。期限内に納税しないと、延滞税が発生するので注意しましょう。また、相続税の計算には複数の控除を利用できます。

 

【相続税の納税期限】

相続税の納税期限は、相続人(子どもなど)が相続の発生を知った日から10ヶ月以内です。被相続人(親など)が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内と考えておけばよいでしょう。

 

なお、相続税の納税期限を超過すると、超過日数に応じた延滞税が課されます。延滞税の税率は、期限超過期間が2ヶ月以内であれば2.6%、2ヶ月以上であれば8.9%です。2ヶ月を境に税率が大きく変わるので、万が一延滞してしまった場合は、とにかく延滞期限を2ヶ月以内に抑えるようにしましょう。

 

なお、不動産の売却によって得た金額で相続税を納税する場合は特に、納税期限に要注意です。不動産の売却には、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度の期間を要します。あらかじめ売却期間を見越した計画を立てましょう。

 

【相続税の計算方法】

相続税は以下の計算式で算出します。なお、基礎控除額と控除額は両方とも適用できます。

 

(相続税評価額 ― 基礎控除額) × 税率 ― 控除額

 

相続税評価額は国税庁が公表している路線価図・評価倍率表を見れば確認可能です。なお、路線価図・評価倍率表は毎年更新されます。相続発生時点での評価額確認が必要です。

 

※参照:財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

https://www.rosenka.nta.go.jp/

 

なお、相続税評価額からは基礎控除額を差し引きできます。基礎控除額は以下の計算式で計算可能です。

 

3,000万円+600万円×法定相続人の人数

 

また、相続税の税率および控除額は以下の表の通りとなっています。

 

評価額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

なし

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

※引用:国税庁

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

 

 

~相続不動産を売却するとかかる税金~

 

不動産を売却すると、相続不動産であるかないかに関わらず、譲渡所得税・住民税という税金がかかります。しかし、相続不動産の売却に関しては譲渡所得税・住民税にも特例を利用可能です。

 

【譲渡所得税・住民税】

不動産の譲渡所得税・住民税は以下の計算式で計算します。

 

(不動産の売却額 ― 不動産の取得金額 ― 売却時の諸費用) × 税率

 

不動産の取得金額とは、被相続人(親など)がその不動産を買ったときの購入金額です。取得金額を証明するためには、不動産購入時の売買契約書が必要になります。しかし、相続不動産が古い場合は、契約書が残っておらず不動産の取得金額がわからないこともあるかもしれません。

 

取得金額を証明できない場合は、売却額の5%相当を取得金額とすることになっています。この前提で計算すると譲渡所得税はとても高くなるので、必ず契約書を探しておきましょう。

 

また、譲渡所得税・住民税の税率は不動産の保有期間によって異なります。保有期間に基づく税率は以下の通りです。

 

保有期間

税率

5年超

所得税:15%

住民税:5%

5年以下

所得税:30%

住民税:9%

 

保有期間は不動産を相続した翌年の1月1日を起点として数えます。例えば、2020年10月に相続したならば、譲渡所得税の計算には2021年1月1日以降の保有期間を用います。

 

【相続不動産売却時の特例】

不動産の売却益を相続税の納税に充当すると、相続税の納税期限を考慮して保有期間5年以下での売却となるでしょう。この場合は、譲渡所得税・住民税が高くなります。

 

しかし、相続発生を知った日から3年10ヶ月以内に相続不動産を売却する場合は、取得費加算の特例を利用可能です。相続不動産を売却する場合の譲渡所得税は、以下の計算式で算出します。

 

(不動産の売却額 ― 不動産の取得金額 ― 売却時の諸費用 ― 相続税額) × 税率

 

通常の課税対象額からさらに相続税額を差し引けるので、税金が軽減されます。なお、譲渡所得税・住民税については、不動産を売却した翌年の2月〜3月に確定申告をしてから納税します。納税のタイミングが相続税とは異なるので要注意です。

 

 

~まとめ~

 

相続税は相続の発生を知った日から10ヶ月以内に納税が義務付けられており、期限を超過すると延滞税が課税されます。また、相続不動産を売却した場合には、相続税とは別に譲渡所得税・住民税の納税が必要です。

 

不動産の売却で得たお金を相続税の納税に充当する場合には、譲渡所得税・住民税の税率が高くなります。しかし、相続不動産を売却した場合には、特例によって税金を減らすことが可能です。

 

なお、不動産取得時の売買契約書が無いと、譲渡所得税・住民税は高くなるので、相続不動産を売却する場合には必ず探しておきましょう。